FCoVの検出

FIPの確定診断は、罹患組織における組織病理学的変化とFCoV抗原免疫染色が診断のスタンダードと考えられてる。

免疫染色は、宿主細胞のFCoV抗原への抗体の結合を利用し、その後、酵素反応によって色の変化を生じさせて可視化するIHCと呼ばれるプロセスである。FIPの組織病理学的所見は、血管周囲に単球/マクロファージ多く浸潤し、少数の好中球とリンパ球が混在する血管周囲炎である。単球が内皮細胞に付着したり、血管から遊走所見が散見される。神経性FIPでは、脳室周囲脳炎および軟髄膜炎がよく見られる。
FIPの確定診断は、組織の肉芽腫性炎症と免疫染色による組織内のマクロファージにおけるFCoV抗原陽性の証明をするべきであり、特異度が高いが、陰性の結果がFIPを除外するものではない。ランダムに採取された組織標本の免疫染色の感度は肝臓でわずか24%、腎臓で39%であった。

貯留液の免疫染色はマクロファージ内のFCoVをターゲットにするため、胸水に細胞が乏しい場合や、FCoV抗原が胸水中のFCoV抗体によってマスクされている場合は、偽陰性の結果が生じる可能性がり、感度に57%から100%までの差がある。

みや動物病院