肥満細胞腫と分子標的薬
2008年の近畿地区獣医三学会で肥満細胞腫にメシル酸イマチニブを投与した1例について発表しました。
肥満細胞腫はイヌでよくみられる悪性腫瘍で、治療が難しい腫瘍の一つです。基本的には手術で切除し、必要があれば抗がん剤を使って再発を予防します。抗がん剤の使い方や種類もたくさんあるので、ワンちゃんの状態を見て、飼い主様と話し合って治療方針を決めていきます。
普通の抗がん剤は、癌細胞を攻撃するのと同時に、正常な細胞も攻撃するので副作用が出ていました。しかし、新い分子標的薬の出現により、抗がん剤治療は変わってきています。分子標的薬は癌細胞の増殖にかかわる特定の分子を攻撃し、正常細胞は攻撃しないので、副作用が出にくいとされています。獣医で応用され始めたころに、普通の抗がん剤が効かなくなったワンちゃんに使い、劇的に効いたことを発表しました。
みや動物病院