猫の変形性関節症の痛みに対する新薬:抗NGFモノクローナル抗体製剤の使用感について
猫ちゃんの変形性関節症の発生率は高く、12歳超では90%の猫ちゃんが痛みの徴候を示していると報告されています。変形性関節症は一般的な疾患でありながらも、飼主様の約70%が猫の変形性関節症を知らないので、治療率は約2%しかないと言われています。新しい変形性関節症の薬は、抗神経成長因子モノクローナル抗体製剤と呼ばれ、神経成長因子が関与する痛みの伝達を妨げることで痛みを抑えます。今まで使われてきた痛み止めの非ステロイド系抗炎症剤とは異なる作用機序なので、猫ちゃんの肝臓や腎臓、胃腸への負担を最小限に抑える治療薬と言われています。
ご高齢の猫ちゃんの飼い主様に新薬の説明をさせていただいたところ、数頭の飼い主様が試してみたいとのことでしたので、お注射いたしました。今のところ投与した全頭で、改善〜劇的な改善が認められています。
月に1回のお注射で、猫ちゃんの痛みを副作用なく抑えることができるので、ご高齢の猫ちゃんには朗報ですね。