低用量ロムスチンで治療を行った組織球肉腫の犬の1例について発表しました
メトロノーム化学療法ってご存知ですか?従来の抗癌剤は最大の用量を注射や飲み薬で投薬し、一定期間明けてから、再度最大の用量を続ける方法でした。副作用も強く、癌細胞が薬に強くなることもあり、治療を断念せざるを得ない場合もあります。
そのような場合に「休眠療法」ともいわれるメトロノーム化学療法が効くことがあるので説明します。その名の通り、メトロノームのように繰り返して抗癌剤を使うのですが、すごく少ない量で短期間で反復して使うことが特徴です。基本的には飲み薬で通院でできるのも良いところです。腫瘍を効果的に縮小することを目的とせず、癌の血管新生を抑制して、現状維持を目標にしています。使ってみると腫瘍が小さくなることもあるようです。
本発表では、重複癌(お気の毒にも2つの癌を同時期に持つことです。)のワンちゃんに対して抗癌剤を選ぶ際に、両方の癌に効く薬をなるべく副作用のない方法で使いたいという飼い主様の強い要望があり、メトロノーム化学療法を実施いたしました。
結果は良好で、同じ癌のワンちゃんの中央生存期間を上回り、副作用もまったくと言ってよいほど見られませんでした。
現在は、副作用はあるが、腫瘍を根絶する治療と、副作用の軽い癌と付き合っていく治療、など、同じ腫瘍に対しても選択肢が多くあります。癌を付き合うタイプの治療方法もご提案差し上げることは可能なので、ご希望があればお気軽にご相談ください。