本日の論文は猫のアトピーについてのレビューの論文から、猫におけるオクラシチニブの有効性について解説していきます。Treatment of the feline atopic syndrome – a systematic reviewでは72報の論文を使用し、それぞれの治療方法に関する有益な情報を伝えています。

オクラシチニブの有効性について要約していきます。
4報の論文で68頭の猫で有効性、安全性が検討されています。

皮膚の症状が記載された論文では、頭と首に掻き傷のある19 頭、自己誘発性脱毛症の8 頭、好酸球性肉芽腫の 4 頭、粟粒性皮膚炎1頭が含まれていました 。全体として、1 mg/kg を 1 日 1 回または 2 回の用量で良好な反応が報告されました。 また、犬よりも猫ではオクラシチニブを迅速に排泄してしまうため、短い投与間隔と高用量の使用を推奨しています。
2件の研究では副作用は特に記録されておらず、飼い主様の観察でも、すべての猫で明らかな副作用はなかったと報告されています。
猫での実績が少なく、ほとんどの研究の期間が短いことと、長期安全性データが不足しているため、適応外使用については注意深く監視することが必要であると記載されています。

当院では、オクラシチニブによる猫ちゃんの痒みの抑制に関しては、非常に良い感触を持っています。ほとんどの猫ちゃんで0.6~0.8mg/kg 1日1回か2回で開始し、ステロイドを使わずに管理できることが多いと感じています。色々な理由でステロイドを使用できない、使用しにくい痒がり猫ちゃんには朗報ですね。

みや動物病院