炎症性腸疾患についてⅡ
前回の続きです。
IBDは、原因不明の慢性消化器疾患で内視鏡で診断する必要があると書きました。そこで内視鏡検査について説明します。
吐き気や下痢が続いているワンちゃんやネコちゃんが来院しましたら、いろいろな検査を行います。
私の病院が初めてのご相談の場合は、糞便検査や血液検査、尿検査やレントゲン検査、腹部超音波検査などを行います。転院なさっていらした場合は、転院前の病院の検査結果をお持ちいただきましたら、利用できる情報は活用して、余分な検査をなるべく省いていくように工夫します。
体調が悪い場合は検査を急ぎますが、体力に余裕がある場合はお食事の変更や、対症療法を行います。
数週間しても改善しない場合や、転院前に経過が長い場合、あるいは体調が非常に悪い場合は内視鏡検査を行います。
まず、絶食でお越しいただき、全身麻酔をかけて胃カメラを口から入れていきます。食道、胃、小腸に胃カメラを入れて小腸と胃の粘膜の細胞を少しずつ採取します。次に、肛門から内視鏡を入れて、大腸から小腸まで入れて同じように粘膜の細胞をとります。採った細胞は病理組織検査に出して診断してもらいます。検査結果がリンパ球プラズマ細胞性腸炎であることが多く、副作用に気を付けて免疫抑制剤を使っていきます。多くの場合、最初の治療でよくなりますが、時折治療に抵抗する重症さんにはいろいろな免疫抑制剤が必要になる場合があります。
セカンドオピニオンでご相談いただいても結構ですので、慢性の嘔吐、下痢でお困りの場合はお気軽にお問い合わせください。